愛のヴィクトリアン・ジュエリー展 華麗なる英国のライフスタイル
見どころ
第1章 アンティーク・ジュエリー

また、ヴィクトリア時代にはあまり高価ではない素材を用い、当時の職人の技によって仕上げられた装身具もあった。例えば、タータンチェックに合わせて作られたスコティッシュ、べっ甲に金銀を象眼したピクウェ、古代より魔除けとして身に着けられたジェット、繊細な細工を施したアイボリーなど。
18世紀にダイヤモンドが宝石としての地位を確立したことにより、代用品として宝石と同じように細工されたマルカジットやカットスティールなど、さらに異国趣味を反映した虎の爪や、珍しい素材への好奇心から昆虫や蝶の羽などのジュエリーも登場した。素材や技法のバリエーションの豊富さも、ヴィクトリアン・ジュエリーの魅力と言えるだろう。
さらに、ヴィクトリア時代には宝石の頭文字のアルファベットを並べたり、デザインやモチーフに込められた意味を通して個人的な想いを伝えるメッセージ・ジュエリーが流行した。
「アンティーク・ジュエリー」コーナーでは、ヴィクトリア女王直筆の手紙が添えられたロイヤルギフトをはじめ、英国王室にまつわる宝飾品約30点とジョン・シェルダンなどの著名なコレクション、及びヴィクトリア時代を代表するジュエリーが一堂に展示される。
第2章 慶びのウェディングと哀しみのモーニング

ヴィクトリア女王の結婚式をきっかけに広まり、今に伝えられているウェディングの習慣の数々。それはヴィクトリア女王がドイツから迎えたアルバート公との結婚式で、「女王」というより、むしろ「花嫁」に相応しいスタイルで式に臨んだことから誕生したと言われている。
ヴィクトリア女王はそれまでの伝統を絶ち、ウェディングドレスに金糸や銀糸で刺繍された重々しい衣装ではなく、淡いクリーム色を選択。そのウェディングドレスの襟や袖口には、イギリスの産業を推奨するためデボン州のホニトンレース(デボン州のホニトンで主に生産されるボビンレ-スのこと)が飾られていた。
女王が結婚式に着用したホニトンレースは、子供たちの洗礼式や結婚記念日など大切な日には必ず着用された。そして、このホニトンレースを結婚式に着用する習慣は、女王の娘たちにも受け継がれ今に伝えられている。
ヴィクトリア女王は結婚式でティアラや宝冠は被らず、その代りにオレンジの造花で作られたヘアーバンドを着けた。ドレスの装飾にも用いられたこの造花は、繁栄と多産の象徴として子や孫の結婚式にも受け継がれていく。
また、結婚指輪を交換する儀式は、アルバート公がドイツから持ち込んだもの。以後、イギリスでもこの儀式が定着した。
モーニング~亡き人への想い
喪に服する期間に故人を偲んで身に着けられたモーニング・ジュエリー。1861年、最愛の夫アルバート公を亡くしたヴィクトリア女王は、25年もの長きに亘り喪に服し、アルバート公の肖像を描いたミニアチュールブレスレットと、髪の毛を入れた小さなロケットを生涯身に着けていたと言われている。
ジェット(流木が化石化した漆黒の宝石)は、「喪に服することが何よりも美徳である」という時代背景の中、英国の宮廷や上流社会、さらには子供たちの嫁ぎ先であるヨーロッパ諸国でもモーニング・ジュエリーとして定着した。
第3章 優雅なひととき~アフタヌーンティー~

その後、ヴィクトリア女王はお茶を広めるために植民地インドでの紅茶栽培を提案し、夕食時に紅茶を飲むことを奨励。そして、お茶を中心とした社交の習慣は、ヴィクトリアンティーと言われる公式な茶会(アフタヌーンティー)へと発展する。
美しい調度品が飾られた室内に、優雅な英国製の茶道具をセッティング。様々なティーフーズを用意し、インドやセイロン産の紅茶をミルクティーで飲むという習慣は、英国人のライフスタイルとして今日まで続いている。
