シャッター アイランド
来日記者会見&フォトギャラリー2010.03.19 UP

「シャッター アイランド」の公開に先駆けて来日した、レオナルド・ディカプリオさん
概略
映画「ディパーテッド」でアカデミー賞を受賞した巨匠マーティン・スコセッシ待望の最新作。主演はスコセッシ監督が最も信頼を寄せるハリウッドのNo.1スター、レオナルド・ディカプリオが、凄惨な戦争体験と愛妻の死という二重のトラウマを負った連邦捜査官に扮し、共演に、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー、ミシェル・ウィリアムズと豪華な顔ぶれが揃った。「ミスティック・リバー」の原作者デニス・ルヘインによる超絶ミステリー小説を映画化した話題作だ。
あいさつ
レオナルド・ディカプリオさん(以下、ディカプリオさん)
日本に来るのはいつも喜びで、今回もその思いでいっぱいです。
日本に来るのはいつも喜びで、今回もその思いでいっぱいです。
インタビュー&フォトギャラリー

「シャッター アイランド」はどんな映画になったと感じますか。
ディカプリオさん
今回、スコセッシ監督はヒッチコック的な映画を作ろうという意図があったんです。ジャンル的にはサイコスリラー、心理スリラー、サスペンスですが、それらを越えて、1人の男が真実を追い求め、自分の過去やトラウマなどから復活するために、どう対処すべきなのかを描いたドラマだと思います。そして、見た人がどう考えたらいいのか分からないような、トリックやミステリーといった要素に加え、結末に驚くべきことがあります。しかし、スコセッシ監督は複雑な人間像を描くことに成功しました。(本作は)彼の作品の中でも最高の1本だと思います。
凄惨な戦争体験と愛妻の死という二重のトラウマを負った連邦捜査官役を演じる上で“難しい”と感じたことはありますか。
ディカプリオさん
この映画はとても複雑で、ストーリーに線を引くことがとても難しいんです。どこまでが幻想で、どこまでが夢なのか、どこまでが本当にあったことなのか。(映画を見た)多くの人から「複雑なコラージュを見ているようだ」と言われるほど、小さなエピソードがたくさんあるので(演じる側としては)短編映画を同時に何本も撮っているような感じさえ受けました。スコセッシ監督は、(ディカプリオ演じる)主人公・テディの複雑な人生、生き方というものを認識・分析して映画にしています。過去を知り、自分を知り、という過程を辿る進化のドラマ。それは俳優にとって非常に難しい、非常に強烈な体験でした。

今作でスコセッシ監督から学んだこと、監督との仕事について教えてください。
ディカプリオさん
彼(スコセッシ監督)とは、かれこれ10年くらい一緒に仕事をしています。本当にすばらしい監督というだけでなく、映画のことをよく知っている大変な映画ファンです。しかも、カメラワークや音楽のこともよく知っています。関わる人すべてを意欲的な気持ちにさせ、作品を作るごとに新境地を切り開いていく人です。すばらしいと思うのは、“俳優たちとの関係”です。(映画の)シナリオを読んだ俳優がどんな演技をするのかを見ながら、俳優の演じる方向についていき、映画を花ひらかせるというプロセスを取ります。俳優たちは心の旅をします。それを見守り、任せ、それに対して責任を取ります。それは主役のみならず、数時間しか出ないような脇役にまで同じ態度で接しています。彼との仕事は驚きがいっぱいあり、学ぶことも多いのです。
演じられた役柄との共通点はありますか。
ディカプリオさん
あまりないことを祈っています(笑)。もし、共感点を見いだすとすれば“しつこさ”が似ていると思います。テディという人物は、“シャッター アイランド”に着くと「この島は何なんだ」「何か陰謀があるらしい」と、調査を始めます。真実を発見しようと、島の人たちがどんな役割を演じているのか知ろうとするわけです。それは、俳優が役作りを追求していく姿勢とよく似ています。テディの中には「周囲のことをよく分かっている、観察している男」と「周囲を全く見ていない男」が居ます。いつも目を光らせ、あらゆることを知りたいと思っている。強いていうならば、そこが似ているなと思います。
“妻を亡くした心の傷を持つ男”という設定の役作りを、どのようにされたのか教えてください。
ディカプリオさん
(独身の)自分が体験していないことを、なぜ演じられるかというと、そういうことをするのが俳優なのです。つまり、演じる人の身になって、「もし僕がこうだったら」という気持ちになる。演技を作っていくというのが俳優ですから当然それができるわけです。その点、この映画には(役作りの)手がかりになるような資料がたくさんありました。原作はもちろん、映画の舞台になっている50年代の精神科の病院を題材にしたドキュメンタリー映画も参考になりました。また、スコセッシ監督が撮影前に関連のある映画を4、5本集めて試写するんです。例えば、今作のように愛する人を失った主人公が出てくる映画なら、「ローラ殺人事件」とかアルフレッド・ヒッチコック監督の「めまい」。「アビエイター」の撮影前には「ヒズ・ガール・フライデー」を見せてもらい、「ディナーシーンはこういう感じでね」と、関連映画を見て参考にすることで、いろいろなことが学べるわけです。映画作りに1番大切なのはクランクインする前の勉強だと思いますし、スコセッシ監督との仕事は、俳優として成長するだけのみならず、映画の歴史を知るというすばらしいおまけがあるわけです。

スコセッシ監督はどんな監督だと思いますか。
ディカプリオさん
先日行われた、ゴールデン・グローブ賞でも述べましたが、日本には黒澤明監督がいる、黒澤さんというのは日本の歴史的な人物です。スコセッシ監督もアメリカにとっては同じです。1000年後も映画史が続いていれば、1000年後の人も、黒澤やスコセッシの映画を見ていると思います。そういう傑出したフィルムメーカーであり、究極のアーティストであり、生きる伝統といってもいいと思います。彼と仕事が出来たことは喜びであり名誉なことです。
ネズミがたくさん出てくるシーンや崖を登ったり下りたり、暴風雨の中を歩いたりと大変なシーンが多かったと思いますが、思い出深いシーンを教えてください。
ディカプリオさん
最初はたくさんネズミが出てくる崖のシーンはとても嫌でした。ところが、私が見た中でもあのネズミたちはプロ中のプロのネズミでした。実際いたのは50匹くらいで、動物のトレーニング会社が育てたネズミたちで、「そこに居ろ」と言えばそこを動かないトップクラスの俳優でした(笑)。ハリケーンのシーンは、2階建てくらいはあるような機械で風を起こし、ホースで水をまかれる中で、相棒の刑事と5、6ページ分のセリフを言わなくてはいけないわけです。ところが、相手の言っていることが全然分からなくてパントマイムをしているようでしたね。ところが、フィルムに焼き、編集が入り、サントラが入ると、ちゃんと会話をしているような演技になっていました。まさに、映画のマジックですね。

最後に
ディカプリオさん
この映画は、2回、3回と見ていただける映画だと思います。1度見たあと、2度目に見たときには絶対に違う意味や演技の解釈を見出すことができます。そういう意味で“数回の鑑賞に堪えうる映画”と言わせていただきたい。もちろん(見るのは)1回でもいいんですよ。でも、本当はそうしていただけるともっと(この映画を)楽しめると思います。
この映画は、2回、3回と見ていただける映画だと思います。1度見たあと、2度目に見たときには絶対に違う意味や演技の解釈を見出すことができます。そういう意味で“数回の鑑賞に堪えうる映画”と言わせていただきたい。もちろん(見るのは)1回でもいいんですよ。でも、本当はそうしていただけるともっと(この映画を)楽しめると思います。

