The Fantasticks(ファンタスティックス)

懇親会2010.04.05 UP

左から、ゴージャスエンターテインメント代表・吉井久美子さん、演出家・宮本亜門さん、舞台美術家・松井るみさん
左から、ゴージャスエンターテインメント代表・吉井久美子さん、演出家・宮本亜門さん、舞台美術家・松井るみさん

演出家・宮本亜門さんがロンドンのウエストエンドで、日本人初の快挙となるミュージカル・ロングラン公演の演出を手掛けることが決定し、3月30日(火)東京・駐日英国大使館で記者会見を行った。会見には宮本さんと共に、舞台美術家の松井るみさんも登場した。司会をゴージャスエンターテインメント代表でブロードウェイ・プロデューサーの吉井久美子さんが務めた。

概略

5月下旬に演出家の宮本亜門がDuchess Theatre(ダッチース・シアター)からの招聘で、ロンドン・ウエストエンドミュージカルのロングラン公演に日本人として初めて挑戦する。手掛けるのは、1960年の初演から2002年までの42年間に17,162回というアメリカ史上最高のロングラン記録を打ち立てた傑作ミュージカル「ファンタスティックス」だ。
2004年に「太平洋序曲」で、東洋人としてブロードウェイ史上初となる演出家デビューを飾った宮本が、ブロードウェイと双壁を成すミュージカルの本場ウエストエンドでもデビューを果たす。

あいさつ

宮本亜門さん
日本人初ロンドンで演出なんて言ったら、蜷川(幸雄)さんに殺されます。野田(秀樹)さんに叩かれます。本当にすみません。僕は、ただただロンドンへの想いがすごくあったのですが、これは最初からロンドンのウエストエンドに行く予定ではありませんでした。後で話しますが、ある流れがあって行くことになりました。今日はお越しいただいてありがとうございます。よろしくお願いします。

松井るみさん
舞台美術家の松井るみと申します。本日はお忙しい中、ありがとうございます。宮本亜門さんと太平洋序曲で一緒に仕事をしてから約10年経ちました。その間、「TEA」や「ファンタスティックス」(2003年、2005年)など数多くの作品を一緒にさせていただきました。さらに今回の「ファンタスティックス」で、ウエストエンド進出というすばらしいご褒美? になるといいですね(亜門さんの方を向いて)。がんばりたいと思います。よろしくお願いいたします。

インタビュー

ファンタスティックス_亜門さん03

宮本さん、初めて「ファンタスティックス」を見たとき、どのように感じましたか。
宮本さん
僕が初めて「ファンタスティックス」を見たのは中学生のときです。渋谷のジャンジャン(劇場)で見て、「こんなに面白いものがあるのか」と、ぼろぼろ泣いてしまいました。大学3年生のときに、ミュージカルをやろうということになり「ファンタスティックス」がいいと、私がマット役をやってしまいました(笑)。(マット役を演じたときの写真を掲げて見せる宮本さん)あまりにも、「ファンタスティックス」が好きで、トム(・ジョーンズ)も良く知っていますし、日本ではいろんな方がご覧になっていると思います。世界の中でも日本ほど「ファンタスティックス」が好きな国はないんじゃないでしょうか。トムが日本のことを好きなのもそういう理由だと思います。シンプルで愛情があって、人間の根源的な想いがたくさん詰まっている作品です。その「ファンタスティックス」を、いつかやりたいと思っていましたが、まさかやるとは思っておりませんでした。

ファンタスティックス_亜門さん

宮本さん、これまで「ファンタスティックス」を2度演出されていますが、心に残った出来事はありますか。
宮本さん
(「ファンタスティックス」を)東京で初演する前、(脚本・作詞を手掛けたトム・ジョーンズさんに)会いに行き、一番最後のセリフのことで質問をしました。まず、父親が「壁を壊そう」と言うんです。そうすると、「いや、壁はそのまま」という日本語になっています。これが僕にはよく理解できなかったんです。この、40年以上やってきたショーの最後のセリフが、どうしてこれで終わるんだろうと思ったんですね。その質問を直接トムにぶつけたら「僕も分からなかった」って言うんです。「ええ~、どうしてですか?」と聞くと、“壁がこのまま”というセリフがなんとも雰囲気がいいと、初演のプロデューサーが残せと言ったそうです。だいぶやりあったんだけれども、プロデューサーの権限で残すことになり、そのままずっと台本がこうなっていたので40年以上やってきちゃったよ、と言うんです。それで、何が大切かというと、“壁ではない”ということがポイントだという話になり、(何度も)打ち合わせをして最後のセリフが変わることになりました(笑)。今回の「ファンタスティックス」は、打ち合わせをしたことによって何カ所か変わっています。この作品は、ずっとオフ・ブロードウェイですばらしい上演をしていますが、やはり昔の香りのままというのではなく、現代の若い人たちに通じる根源的な何かがあると思っていました。なにかやり方がないかと思って1回上演させていただいたとき、それをトムが見てくれて僕のパートナーになったんだと思います。

ファンタスティックス_亜門さん02

ミュージカルの本場ウエストエンドでの日本人初ロングラン公演ですが、いまのお気持ちや進行状況などを教えてください。
宮本さん
今回は、当初ウエストエンド(での公演)の予定はありませんでした。トムが気に入ってくれてるし、トムもやりたいと言ってくれているのでどこかでやろうと盛り上がりましたが、いろいろあり1度話が消えたんです。あきらめていたときに、英国だったらという話が流れてきたので、吉井さんにがんばっていただき、プロデューサーたちにも熱くなっていただきました。ちょうど、古いミュージカルが新たな装いをもって再演されているということで、この流れにきっと合うんじゃないかとイギリス人の方が思ってくれたみたいです。それで、ウエストエンドのDuchess Theatre(ダッチース・シアター)に入ることになりました。
松井さん
本当にびっくりする以外、なにも言えない状況ですが、劇場が決まってから約1年。後は稽古場に行くばかりというところまで来ています。
吉井さん
補足なんですが、実は北米で「ファンタスティックス」がちょっとお休みをしている間に、亜門版「ファンタスティックス」を披露するのに、ちょうどいいのではと考えたことがありました。その準備をしているときに、オフ・ブロードウェイで再演することになり、私たちが入っていく感じではなくなったんです。そのとき、トム・ジョーンズさんが大変熱心にいろいろなところに働き掛けてくださいました。英語圏でミュージカルと言えば、ニューヨークのブロードウェイかロンドンのウエストエンドが重要なところです。そこで、ロンドンはどうかという話になり、まずは短期でやる劇場で上演しましょうと盛り上がりました。るみさん(松井さん)に渡英してもらい、劇場の視察までしていただきました。じゃあここで、やりましょうとほとんど決まりかかっていたところ、英国のプロデューサーが「いやこれは、ロングランを狙える。ウエストエンドでやるべきだ」と言ってくださり、Duchess Theatre(ダッチース・シアター)のオーナーさんが「ぜひ、やりたい」と仰ってくださってウエストエンドでの公演に繋がりました。

ファンタスティックス_松井さん
≪模型の説明≫
松井さん
これは、Duchess Theatre(ダッチース・シアター)に当て込んだ「ファンタスティックス」の(ステージの)模型です。非常にコンパクトな劇場で、ロングランということも見据えて、東京で行われたよりもいろんなバージョンにフルに対応できるように作っています。基本的には、三角形のシンプルなステージがあって、棒が2本。これがマジックを呼ぶんですが、それ以外はすべてがブラックで2列の客席とプロップスボックスというのが4つあります。それ(プロップスボックス)にすべてのマジックが隠されていて、かなりトリッキーなことの連続になっています。オフ・ブロードウェイバージョンよりもかなり練られていて、マジシャンが使っているのではないかというくらい不思議な箱になっています。ブラックボックスにはある仕掛けがあります。それが美しくできることが私の課題だと思っています。
ファンタスティックス_松井さん01


宮本さん、長年の夢がロンドンで叶うわけですがプレッシャーはありますか。
宮本さん
もう、吐きそうです(笑)。ロングランのプレッシャーって普通じゃないですね。ウエストエンドが大きな声で「ウエルカム!」と言ってくれている分、プレッシャーがかかっているというのが正直な気持ちです。でも、「絶対に超えるんだ~っ」て思ってやっていますし、それを存分に楽しむべきだと思っています。新しい舞台に立たされたという喜びと興奮とプレッシャーは当然ありますね。
吉井さん
ロングランを狙うということがどういうことかと申しますと、劇場との契約書に終わり(期間)が書いてないんです。
亜門さん
こんな不安なことはなかったですね。人のロングランを見て、「いいな~」って思っていてすみません。「太平洋序曲」のときには、3カ月間というのが最初から決まっていました。今回、早く終わっていろいろ聞かれるんじゃないかなとかいろんなことを考えすぎないように、まずは稽古に集中しようと思っています。
吉井さん
意気込みとしては、どのくらいのロングランを狙っていますか。
宮本さん
えっ。吉井さんが僕に聞くんですか? 吉井さん強気ですね。僕たちが酒に酔ったときのことを言うと、「オリンピックまでいかなきゃ」って言ってます。るみさん、どうですか?
松井さん
長ければ長いほどうれしいです。

ファンタスティックス_01

ファンタスティックス_亜門さん&松井さん01

ファンタスティックス記者会見

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